自分に合った死亡保険とは?
定期保険と終身保険どちらを選べば良いの?
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万一のことがあった場合に備える死亡保険は、大きく定期保険と終身保険に分けられます。それぞれに特徴があり、選ぶ際には家族構成やライフステージによって検討する必要があります。
この記事では、定期保険と終身保険の2種類の死亡保険について、その違いやメリット・デメリット、そして選び方を解説します。それぞれの特徴を十分に把握し、最適な死亡保障を選びましょう。
- 定期保険は保障される期間が定められていて、終身保険は保障が一生涯続く
- 定期保険は終身保険よりも割安な保険料で大きな保障を確保できる
- 終身保険は定期保険よりも保険料が割高ではあるが、貯蓄性がある
- 必要な保障額は家族構成やライフステージによって検討しよう
死亡保険って何?
死亡保険とは、保険の対象となる方(被保険者)が死亡した場合、あらかじめ指定した受取人に保険金が支払われる生命保険です。また、両眼の視力を永久に失う・咀嚼できない等保険会社所定の「高度障害状態」になった場合にも保険金が支払われるものもあります。
死亡保険には定期保険・終身保険・養老保険の3つの種類があり、主に定期保険と終身保険が選ばれています。
養老保険とは、「60歳」や「65歳」等満期を設定し、それまでに万一のことが起きた場合は「死亡保険金」を、満期時に生存していた場合は「満期保険金(死亡保険金と同額)」を受取れる仕組みの保険です。
定期保険と終身保険の詳細については以下で説明します。
定期保険とは
定期保険の特徴は、以下のとおりです。
【保険期間が決まっている】
定期保険は、保障の対象となる期間(保険期間)に定めがある定期型の保険になります。契約時に定めた期間内に死亡、または所定の高度障害状態になった場合に、保険金が支払われます。
【解約払戻金が少額】
定期保険を解約した場合、一般的に解約払戻金は少額です。支払った保険料はほとんど戻らない、いわゆる掛捨て型の保険です。
その分、終身保険よりも割安な保険料で保障を確保することができます。
【更新型の保険商品もある】
定期保険は一定年齢に達するまで更新できる場合があります。これによって、保険期間が終わっても、保障を継続させることが可能です。更新時には健康診断書の提出や健康状態の告知が不要なため、健康に不安があっても保障を継続できます。更新できる保険商品のなかには、手続きなしで自動更新される商品もあります。更新しない場合は例えば1カ月前までに保険会社に申出る必要がある等の条件が定められていることが多いので、意図せず更新されてしまうことがないよう契約内容をチェックしましょう。なお、更新時の年齢で保険料が再計算されるため、一般的に更新後の保険料は高くなっていきます。
【年満期と歳満期がある】
保険期間の設定方法には、「年満期」と「歳満期」の2種類があります。
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年満期:「10年間」や「20年間」等、年数で保険期間を設定する
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歳満期:「65歳まで」や「90歳まで」等、被保険者の年齢で保険期間を設定する
歳満期の場合は定められた年齢に達すると保障がなくなり、その後は更新できません。一般的には、更新ができるのは年満期の場合のみです。
また、一般的に契約時の保険料は年満期の方が抑えられますが、長期的にみると払込保険料の総額は歳満期の方が少なくなることもあります。短期間大きな保障を持ちたい方は年満期を、長期間にわたり一定の保障を持ちたい方は歳満期を検討すると良いでしょう。
【定期保険の種類】
定期保険には、以下のような種類があります。
平準定期保険 | 保険期間中の保障(保険金額)がずっと一定であるシンプルなタイプの保険 |
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逓減定期保険 | 保険契約後、期間の経過とともに受取れる保障(保険金額)が減少していく保険で、保険金は一時金として受取ります。必要保障額の変化に合わせた保障を、割安な保険料で持てるという点で合理的な保険と言えます。 |
収入保障保険 | 保険契約後、期間の経過とともに受取れる保障(保険金額)が減少していく保険で、保険期間満了まで毎月年金形式で保険金を受取ります。保険料が割安である点と、遺族が生活費として保険金を使いやすいという利点があります。希望すれば、一時金としての受取りもできます。 |
無解約払戻金型定期保険 | 解約払戻金をなくすことで、通常の定期保険よりも割安な保険料で、保障が必要な一定期間、大きな保障を備えやすくした定期保険です。保険期間内であれば保障(保険金額)は一定で、一時金として受け取ります。 |
終身保険とは
終身保険の特徴は、以下のとおりです。
【一生涯の保障で保険料が変わらない】
終身保険は、保険期間の定めがなく一生涯保障が続く終身型の保険になります。死亡時期に関わらずいつ亡くなっても加入時に定めた死亡保険金が支払われます。
【有期払と終身払がある】
終身保険の保険期間は一生涯ですが、保険料を支払う期間(払込期間)を選択することが可能です。
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有期払:「10年間」や「55歳まで」等、保険料の払込みが一定年齢または一定期間で満了する払い方
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終身払:払込期間を設定せず、一生涯をかけて支払う保険料の払い方
有期払の場合、1回ごとの保険料は終身払よりも割高ですが、払込期間が終了すれば、以降は保険料を支払う必要がありません。一方、終身払の場合、1回ごとの保険料は有期払よりも割安ですが、注意点として払込期間が長くなれば支払う保険料総額は有期払よりも高額になる可能性があることがあげられます。
【解約払戻金がある】
終身保険には解約払戻金があります。途中で解約することになった場合でも、その時点における解約払戻金が契約者に払戻されます。
しかし、解約払戻金がある分、掛捨て型の定期保険よりも保険料は割高です。
【途中解約にはリスクがある】
保険会社では一定の利率で運用を行っており、解約までの期間が長くなるほど運用期間も長くなります。そのため、終身保険を解約するタイミングによっては、解約払戻金が支払った保険料の総額を上回る場合があります。
しかし、早期に解約してしまった場合は、支払った保険料の総額よりも解約払戻金が大幅に少なくなってしまうリスクがあります。
【終身保険の種類】
終身保険には以下のような種類があります。
定額終身保険 | 最も基本となる終身保険です。契約時に設定した保険金額は変動せず、支払う保険料も、解約時に受け取る解約払戻金額も契約時に確定している保険です。 |
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低解約払戻金型終身保険 | 保険料払込期間中は解約払戻金を低く設定することで保険料を抑え、保険料払込期間が終わると、解約払戻金額は定額終身保険と同程度になります。なお、契約時に設定した保険金額や解約払戻金額は契約時に確定しています。 |
積立利率変動型終身保険 |
積立利率が世の中の経済状況に合わせて変動する終身保険です。そのため、保険金額は変動し、解約払戻金額は契約時に確定していません。 保険金額・解約払戻金額は最低保証されており、積立利率が上昇すれば保険金額や解約払戻金額が増加する可能性があります。 |
変額終身保険 | 契約者から受け取った保険料を投資信託や株式、債券などで運用する終身保険。運用成果によって保険金額は変動し、解約払戻金額は契約時に確定していません。多くの場合、保険金額は最低保証されており、運用実績によって保険金額や解約払戻金額が増減する保険です。 |
外貨建終身保険 |
保険料の払込みや保険金の受取りを外貨で行う終身保険 (円で保険料を支払ったり保険金を受取ったりすることもできますが、いずれも為替リスクがある保険商品です) |
定期保険と終身保険の違いを比較
定期保険と終身保険の違いについて、それぞれの違いを比較してみましょう。
定期保険 | 終身保険 | |
---|---|---|
保険期間 |
一定期間 (年満期または歳満期) |
一生涯 |
保険料 | 割安 | 割高 |
貯蓄機能 |
なし (掛捨て型) 長期平準定期保険等、貯蓄機能があるタイプの定期保険もあります。
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あり (貯蓄型) 保険料の払込期間を「終身払」にした場合は、解約払戻金が支払った保険料総額を上回るのは難しく、貯蓄機能は小さくなります。
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更新 |
あり (「年満期」の場合) |
なし |
定期保険と終身保険はどちらが良い?必要保障額についても考えよう
万一に備える定期保険や終身保険ですが、実はその活用方法は多岐にわたります。また、死亡保障目的で加入する場合でも、必要保障額はライフスタイルや年齢によってさまざまですし、どちらの保険が向いているかも人によって異なります。
独身の方であれば最低限の葬儀費用があれば足りるかもしれませんが、子育て世代には家族のために大きな保障を用意することが必要になります。また、充実した老後を過ごしたい方には老後資金の準備が必要にもなるでしょう。そのため、定期保険と終身保険のどちらが良いかについても、その方の考え方や状況によって異なってきます。
以下では、それぞれどんな方におすすめか解説します。
定期保険がおすすめの方
割安な保険料で大きな保障を確保できる定期保険がおすすめなのは、必要保障額が高額になる、以下のような方があげられます。
- 教育費や生活費の負担が重く、保険料を抑えたい子育て中の現役世代の方
- 個人事業主や法人経営者
子育て世代に万一のことが起きた場合、家族の生活費や子どもの教育費等を考えると、必要保障額は大きくなります。一定の期間だけ大きな保障を確保できる定期保険は、保険料が掛捨てである分、終身保険よりも安価な保険料で必要な保障を備えやすいメリットがあります。ライフステージの変化に合わせて必要保障額を見直しやすいところも定期保険のメリットだと言えるでしょう。
更新型の定期保険の場合、更新時には健康告知が必要ないため、健康状態に関わらず更新ができることが多くなっています。ただし、更新をするときには、更新時の年齢で保険料が再計算されるため保険料が高くなる点には注意が必要です。また、更新できる年齢には上限があるため、タイミングを見て更新のいらない歳満期タイプの定期保険や終身保険に加入し直すといいでしょう。
共働きで夫婦どちらにも一定の収入がある場合には、どちらに万一のことがあってもそれまでどおりの生活ができるように、夫婦共に定期保険で保障を備えておきましょう。
国民年金に加入する個人事業主やフリーランスは、会社員や公務員に比べて遺族年金が少ないため、死亡保障を手厚く備えておく必要があります。保険料を抑えながら大きな保障を備えやすい定期保険を活用することをお勧めします。
法人の経営者で万一に備えて大きな死亡保障が必要な方にも、定期保険が向いているでしょう。
終身保険がおすすめの方
一生涯の保障を確保しながら貯蓄性もある終身保険がおすすめなのは、大きな保障額を必要としない方で、例えば以下のような方があげられます。
- 葬儀代やお墓代等、一生涯変わらず必要な保障額を確保したい方
- 万一の保障と貯蓄機能、両方を叶えたい方
葬儀代やお墓代等は誰にとってもいつかは必要になるお金です。若いうちに終身保険に加入しておくことで、高齢になってから加入するよりも月々の保険料負担を抑えることができます。貯蓄性のある保険なので、途中解約をして老後資金として活用することもできるでしょう。
終身保険の注意点としては、解約するタイミングによってはそれまでに支払った保険料よりも受取れる解約払戻金が少ない「元本割れ」になる可能性があることです。無理のない保険料を設定して、早期で解約しないようにすることが重要です。
以上を参考に、自分に必要な保険を検討してみてはいかがでしょうか。
また、掛捨て型が良いのか、貯蓄型が良いのか、という視点で迷っている方は、以下の記事も参考にしてください。
定期保険と終身保険の特徴を理解して自分に合う死亡保険を備えよう
定期保険と終身保険は、どちらが良いというものではありません。必要保障額が大きくなる期間だけは定期保険で準備し、同時に貯蓄性のある終身保険を備える等、2つの保険を上手く組み合わせることもできます。
死亡保険を選ぶうえで大切なのは、自分の必要保障額を確認することです。ライフステージによって必要保障額も変化しますので、定期保険と終身保険、それぞれの特徴を活かし、自分の状況や希望に沿った保障内容を見直ししていきましょう。
- このページに掲載している保険商品の内容は、一般的と考えられる内容です。
また、記事中で掲載している保険商品に関して、当社では取扱いのない保険商品もあります。
各保険会社が取扱う保険商品の内容については、各保険会社へお問合せください。 - 本記事は、当社からファイナンシャルプランナーに依頼し執筆いただいた原稿を、当社で編集したものです。
【執筆者プロフィール】
氏家 祥美(うじいえ よしみ)
ファイナンシャルプランナー/キャリアカウンセラー
ハートマネー代表
www.heart-money.net
2児の出産後、FP(ファイナンシャルプランナー)とキャリアカウンセラーの資格を取得。子育て世帯や共働き世帯のライフプラン相談やセカンドキャリア層に向けたマネーライフプランのアドバイスが得意。「幸福度の高い家計づくり」をモットーに、家計相談だけでなく執筆や講演業務にも精力的に活動中。