「お客様にとっての最適」を考え部署の垣根を越えて結束。はなさく設立のプロセスと組織カルチャーを語る

「新たな発想でお客様一人ひとりの人生をサポートし続ける」という企業理念を掲げ、2019年に営業を開始したはなさく生命。設立にあたっては、さまざまな機能をゼロから立ち上げる必要がありました。「困難を乗り越えられたのは、部署の垣根を越えた横のつながりがあったから」。そう話すのは、CS戦略部既契約チーム 課長の多田誠子です。保険事務のルール策定に貢献した多田に、当時のエピソードや組織に根づくカルチャーについて聞きました。

多田 誠子 SEIKO TADA

CS戦略部 課長

東京都出身。2009年に大学卒業後、新卒で生命保険会社へ入社し、主に保険金の支払査定業務に従事。半年間の専業主婦期間を経て、2018年9月にはなさく生命の準備会社へ入社し、保険契約の収納・保全・支払に関する事務構築に従事。2022年からは課長としてチームマネジメントを行う。
趣味はドラマ鑑賞とテニス。休日は子供と公園で過ごす。

二つ返事で新会社に参画「不安よりもワクワク感が上回った」

はじめに、多田さんがはなさく生命に入社するまでの経緯を教えてください。

新卒で生命保険会社に入社して、主に保険金の支払可否を判断する査定業務を担当していました。当時私は大阪で働いていたんですが、夫が東京に転勤することになり、悩んだ結果退職することに。

それから半年ほど、ベンチャー企業の立ち上げにアルバイトとしてかかわったり、専業主婦として過ごしたりしていたんですが、「もう少し社会とかかわりを持ちたいな」と思うようになりました。日本生命が「はなさく生命」という新会社を立ち上げるという話を耳にしたのはその頃です。

たまたま知人ががはなさく生命の立ち上げ準備会社にいて、「一緒にやりませんか?」と声をかけてくれました。

はなさく生命の立ち上げに誘われたとき、どんな気持ちになりましたか?

新会社の立ち上げに携わるなんてめったにない機会なので、とにかくワクワクしました。ベンチャー企業の立ち上げをお手伝いしたときに感じた、少人数で切磋琢磨しながら1つのものをつくり上げる充実感をまた味わえるんだなと。

もちろん、不安もありました。前職で保険の支払業務に従事していたときはルールがすでに整えられた環境で仕事をしていたので、自分たちでそれをイチからつくり上げられるんだろうかと。けれども最終的にはワクワクする気持ちのほうが勝りましたね。

前職でも業務を改善するためにいろいろ挑戦をしていたので、新会社の立ち上げとなるとよりやりがいが感じられそうだという期待もありました。

顧客の「生の声」から課題をひもとき、よりよい業務運営を目指す

CS戦略部での多田さんの業務内容について教えてください。

現在はCS戦略部の既契約事務チームで課長職を務めています。

既契約事務チームは保険に加入いただいたお客様への対応をするチームで、具体的には「収納・保全・支払」の3つの業務を担当します。収納は保険料を適切に領収するための業務。保全は名義や住所の変更といった保有契約の変更業務。支払はお客様からの請求にもとづいて給付金・保険金をお支払いする業務です。

このうち私がメインに担当しているのは保険料の収納業務と保全業務の一部です。これらの業務を正確・迅速に遂行することはもちろん、課題に対する改善案の策定やプロジェクト管理、チームマネジメントなどを行っています。

業務範囲が多岐にわたりそうですね。

そうですね。拠点間での業務配分を最適化するのも業務の1つです。保険契約の保有件数が増えたため、はなさく生命では2020年に大阪オフィスを開設しました。また、外部企業に事務の一部を業務委託しているので、その3つで業務をどう配分すれば最適かを判断し推進しています。

ほかにも、事務システムのアップグレードやデジタル活用推進にも取り組んでいます。社内の事務作業の効率化はもちろん、たとえばお客様がWebで保険手続きをする際「マイページ」をより使いやすいよう充実させるといった業務も含みます。

新商品が発売される場合の事務オペレーションやルール策定も、私たちの仕事です。

既契約事務チームはお客様と直接やり取りすることが多い部署です。そこでいただいた生の声やコールセンター、営業からのフィードバックを吸い上げて、お客様本位のよりよい業務運営を目指しています。

「正解のない難しさ」を乗り越えられたのは部署の垣根を越えた協働があったから

多田さんは立ち上げメンバーとしてはなさく生命の事務システム構築に携わってきたそうですが、具体的にどんな取り組みをしてきたのでしょうか。

現在既契約事務チームが担当している収納・保全・支払の事務ルールをゼロから構築しました。メンバーは約10名。事務チームの4名と、あとは既契約システムの開発チームのメンバーです。チームの中で収納・保全・支払の各メイン担当を決めて、それぞれでルールを構築していきました。

私がメインで担当したのは収納業務。前職では支払業務がメインだったので、知識をキャッチアップするのが大変でした。

一旦は親会社である日本生命のルールをベースにしてはなさく生命のルールを作ってみるものの、日本生命はフェイス・トゥ・フェイスの営業職員チャネルがメイン。一方のはなさく生命は代理店チャネルなので、どうしても違いがあります。

このルールで抜け漏れはないか、日々不安でしたね。はじめのうちは1日中考えごとばかりで、マニュアル作成が1ページも進まない日もあったほどです。とにかく暗闇の中を突き進むような感覚でした。

正解がわからない中でのルール策定、必死にもがく様子が伝わってきます。どう突破口を切り拓いていったのでしょう。

システム開発のメンバーが収納業務に詳しかったので、まず「どんなシステムをつくっていくか」を議論しながら、それに対応する事務ルールを考えていきました。

もう1つ意識したことは、「お客様目線」です。私自身、保険の収納業務についての知見をほとんど持たなかったので、逆にそれを活かそうと。たとえば、「自分がお客様の立場で書類を受け取ったとき、どういう部分にわかりづらさを感じるか」といったことを考えながら、自分たちが策定したルールを振り返るようにしていました。

そうやって少しずつルールがマニュアル化されて形になっていくなかで、だんだんと「抜け漏れはないか?」という当初の不安が解消されていきました。致命的なエラーは出さない前提で、まずはベースのルールをつくって開業後にブラッシュアップしていこうという考え方に切り替わっていったんです。

周囲のメンバーと切磋琢磨しながら現在の事務システムをつくり上げてきたんですね。

そうですね。CS戦略部のメンバーだけでなく、幅広くいろいろなチームの方にも相談しながらルールづくりをしてきました。

たとえば法律に関する部分は法務部門と、代理店実務については営業部門と。ほかにも、新商品を発売するにあたって事務オペレーションをどうすべきかを商品開発部門と密にすり合わせをしながら決めていきました。

はなさく生命は横のつながりがとても強い会社だと感じていますし、そこが私のお気に入りポイントでもあります。

規模が大きな会社だと、同じ社内の事務部門とシステム部門で意見が対立してしまうことがよくあると聞きます。ですが、はなさく生命には「スタンスは違えど一緒にいいものをつくっていこう」という気概を持った人が多く、いい雰囲気でプロジェクトを推進できていると感じます。

その横のつながりの強さは、どんなところから来ていると思いますか?

開業当初から横のつながりを深めようとする文化が引き継がれていると感じますね。全社交流の機会が多く、共通の趣味の人が集まってボードゲーム会をしたり、テニスをしたり。オフィスの入り口にあるカフェスペースで平日の業務終了後に飲み会イベントが開催されたときも大盛況でした。

変化を恐れずCX向上に向き合える「強い組織」

2019年の開業とともに事務システムがスムーズに動き出したとき、どう感じましたか?

とにかく安心しましたね。お客様から給付金の請求書類が届いて、それに対する支払処理を終えて、お客様にお支払明細書をお届けする。その一連の流れを完遂するまで、メンバー全員が緊張の面持ちでした。

システムが正常に稼働したことを確認したときには、「私たちがつくり上げてきたものは間違っていなかったな」と心からほっとしましたね。こうして事務システムは順調に滑り出したんですが、実は次の困難があって……。

何があったんですか?

新型コロナウイルス感染症の影響で、業務運営を大きく変える必要が生じたんです。

事務部門はお客様と書類の授受を行うために、それまでほぼ出社して仕事をしていました。けれども世の中の感染者数が増え、いよいよリモートワークに切り替えざるを得なくなって。

このときは、いかにお客様対応の品質を維持したうえでリモートワークで業務を回せるか、チームで議論を重ねながら業務運営の変更をしていきました。結果的にうまくいった要因は、シンプルなシステム構成を実現していたためにリモートワークに切り替えやすかったことが1つ。

もう1つは、メンバーのマインドです。全員が現状に固執することなく、「別のやり方があるのでは?」と前向きに挑戦できる気質を持っていて、変化に強い組織だと感じました。

コロナ禍では、コロナに感染した方に支払われる給付金の請求が急増しました。こちらの対応も大変だったのではないですか?

そうなんです。当時は生命保険業界全体が給付金請求に追われている状況でしたが、私たちも例外ではありませんでした。

そんななか、CS戦略部では「困難に陥っているお客様にいかに迅速に給付金をお支払いするか」を最優先に支払い業務を進めていくことになりました。

このとき、「手を貸せる人は貸してほしい」と部内に協力を申し出たところ、自分たちも現業がある中でマストではなかったにもかかわらず、ふだん支払業務に携わっていないCS戦略部内の開発チームのメンバーをはじめ部内のほとんどの方が手を挙げてくれたんです。

チームの垣根なく、お客様のために一丸となって業務を推進する意識が醸成されていますね。

はなさく生命には「CXカルチャー」が浸透していると感じますね。お客様の体験価値(CX)を向上させるため、ふだんの業務の中で1人ひとりが「お客様にとっての最適」を突き詰めて考える。それがこのとき、「全社で協力して給付金支払業務に取り組もう」という思考につながったんだと思います。

リーダーとしての苦悩や産休・育休明けの戸惑いを支えた「メンバーとの信頼関係」

はなさく生命に入社してからここまで、会社の変化とともに多田さん自身の働き方も変わってきたのではないですか?

そうですね。2022年に課長補佐から課長に昇格して、よりチーム力向上に重きを置いて仕事をするようになりました。

自分がプレイヤーだった頃は「チームで楽しく仕事しよう」という気持ちが先行していましたが、管理職の立場になってみるとそれだけでは業務が回っていかないんだなと。改善すべきポイントがあれば本人にきちんと伝えるように意識しています。

ほかにも、部としての方向性を決めるときに、自分のチームだけでなく他部門の事情も考慮しなければいけません。こうした場合の調整の仕方はまだまだ経験や知識が足りていないので、日々学びだなと思っています。

プレイヤーだったときとは違う、リーダーとしての苦悩ですね。その難しさをどう乗り越えようとしていますか?

マネジメント論について書かれた書籍を読んだり、理想のリーダー像について学んだり。でも一番は、身近にいる「こうなりたい」と思う上司のやり方をまねることを意識しています。その上司というのはCS戦略部の部長なんですが、知識も豊富で、何か相談するとすぐに適切な助言をもらえるんです。

あとは同じ悩みを持つ他部門の人とコミュニケーションする機会を持って、相談し合うなどしながらリフレッシュしていますね。

2022年に課長に昇格して、その1年後には産休・育休を取得したと聞きました。

そうなんです。当時チームでは私が一番キャリアが長く、業務に関する知識もあったので、難易度の高い事例や業務改善については自分が担当していました。そんなとき、妊娠していることがわかったんです。

そこで、自分が不在になったときにチームとして機能するための環境を整える方向へとシフトすることにしました。メンバーがそれぞれ機能発揮するためには、成長を促す必要があると思ったからです。

そのためには私が業務をやり切るのではなくて、メンバーを信頼して任せること。だからといって私が「いなくてもいい存在」になるわけではなく、何かしら自分自身に付加価値を付けて発信していく。それがチームにとって今必要なことだと気づいたんです。

そして1年間の産休・育休を経て復帰。戸惑いはありませんでしたか?

はじめはまったく業務についていけませんでしたね。CXカルチャーが浸透しているだけあってどんどん業務改善がされて、都度運営が変わっていくので、この会社の1年って相当大きいんです。

しかも、1年間ほぼ子どもとだけ接していたので、うまく言葉も出てこなくて。仕事のスピード感にもついていけず、「大丈夫かな?」と不安に思うこともありました。けれども、チームメンバーがこの1年間での変化を丁寧にレクチャーしてくれて、なんとかキャッチアップすることができました。

メンバーとのよい関係性が伝わってくるエピソードですね。仕事と育児との両立で何か工夫していることはありますか?

保育園への送迎は、夫と曜日を分担して対応しています。ほかにも、子どもの食事のつくり置きや家の掃除は休日にまとめてしてしまって、平日は最低限生活が回ればOKということにしています。気負いすぎないようにしていますね。

育休から復帰するときに、時短勤務の制度を利用しようか迷ったんですが、結局フルタイムを選びました。出社とリモートワークとの割合も、7:3で出社を多めにしています。

お迎え当番の日は定時で上がらせてもらって、お迎えがない日は仕事にキリがつくまで進める。こうしたメリハリのある働き方が自分には合っていますね。仕事でひと息つきたいときには子どもの写真を見てほのぼのしたり、曜日によっては飲み会に行ってリフレッシュしたりもしています。

ちなみに、私は時短勤務をしない選択をしましたが、働き方にはいろいろなオプションがあります。時短勤務やフルリモートはもちろん、週3日勤務などその人の状況に応じて働き方を選べるので、出産や介護により「会社を辞める」という選択をしなくて済みます。

キャリアを諦めなくてもいい、魅力的な制度だと思いますね。

事務部門こそCX向上のカギ「チャレンジ精神を持つメンバーと改善に取り組みたい」

創業期から今日までを踏まえて、今後はなさく生命をどんな会社にしていきたいですか?

世の中の人たちにもっとはなさく生命のことを知ってもらって、「生命保険といえばはなさく生命」という存在になれたらと思います。そのためにはCXをより向上させる必要があります。そして、CX向上のキーとなるのは、お客様と接する機会が多い私たち事務部門だと思っています。

マイページで完結できる手続きの拡充や、お客様のニーズに沿ったデジタル活用など、日々いただくお客様の声をもとに業務改善できる領域がないかを常に考えることで、お客様満足度を業界最高水準にしたいですね。

その目標を実現するために、どんな人と一緒に働きたいと考えていますか?

変化を前向きに、一緒に楽しんでもらえる人ですね。私は社員育成にも携わっているんですが、はなさく生命にはチャレンジ精神を持った社員が多いと感じています。

現在は事務ルールは一定できあがってはいますが、まだまだ改善できる余地はたくさんあると思っていて。そこに対して前職の経験や知見を活かして前向きに取り組める方と一緒に働けたらと思います。

はなさく生命は役職関係なく、誰であっても「ここを改善しよう」「こんな取り組みがしたい」と手を挙げれば、そのチャレンジを後押しする環境があります。

そこが大きな魅力ですし、はなさく生命で働いていてよかったと思える部分でもあります。自分の力とチームの力で業務をよりよく改善していきたいという人には、とてもやりがいのある職場だと思いますね。

※組織名・社員の所属部署や役職等は
取材当時のものです。

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